(前編)はこちら!
さて、前編では旅行会社のインド人男性に連れられ、病院へ行くまでを綴りました。
まず、「えっ、ここ病院なの?」と思うような建物の前へ車を停め、中へ入っていきました。同じ病院かわかりませんが、近くには小児ICUのある病院の看板がありました。
待合室にいる現地の人々が、日本人が物珍しいためか全員私をガン見してきました。その時の視線が刺さるように痛く、少し怖かったです。
すぐに8帖くらいの広さの診察室に案内されましたが、ごっつい宝石の指輪を何個も付けてターバンを巻いた男性医師が私を診察してくれました。
何よりカルチャーショックだったのが、診察室内の状態でした。
同じ部屋の奥には息も絶え絶えな高齢男性が点滴を受けていて、私が診察を受けている最中にも他の患者が診察を受けにどんどん入ってくるし、壁をヤモリが這っているし、当然部屋は衛生的ではないしで、カオスでした。そして状況が呑み込めないまま、ワクチンを打つことになりました。
ガイド:「注射、1回打ったらオッケ~!これでダイジョーブ!!」
私:「あ、ハイ」
すると看護師がワクチンを右腕にブスッ、左腕にブスッと2回注射。
私:「え…!?」
とりあえず狂犬病のワクチンを接種されることになったのですが、ガイドの説明に反して、ワクチンは1回で2本接種するタイプでした。これにも驚いたのですが、最終日の移動日も砂漠のど真ん中のような場所の病院で、またワクチンを打つハメになりました。その時は病院というよりも、診療所のような所でした。しかも看護師なのかもよくわからない、若い青年に打ってもらいました。
ガイド:「あとは、日本でこれ打ったらOK。元気になる!」
と言われ、なんとワクチンと注射器を持たされました。その時のワクチンが、こちら。
日本に帰国した頃には疲れがドッと沸いてきたのですが、実はここからが大変でした。
行きつけの病院に電話をすると、「そんな短期間で何回も打つワクチン、聞いたことないですねぇ…」「そもそも、海外から持ち込んだワクチンを日本の病院で接種するのは不可能です」「こちらでは対応できないので、保健所を紹介します。」と言われ、保健所に電話をしても対応ができないと言われ、某総合病院の感染症内科を案内されました。
その病院の感染症内科での受診も、なかなか衝撃的でした。
医師:「その噛んできたサル、元気だったぁ~!?」
私:「…えっ!?」
予想外の質問に、一瞬固まってしまったのですが、
医師:「たぶん、狂犬病にはなっていないと思うよ。狂犬病になった個体のサルは元気がなくなって、数週間で死んでしまうからね。だから、人を噛むほど元気がないんだよ。でも一応、ワクチン打っておこうか!」
先生の説明を聞いてなるほど!と思いました。そして、結局日本で別の狂犬病ワクチンをまた新たに3回打つことになり、その月はまさに「ワクチン漬け」の状態でした。でも、自覚するほどの副反応がなかったので、それは良かったです。
ちなみに、その時診察してくれた先生が、もともと明るい人柄なのか、インドで野生の猿に噛まれたという事例が無いためなのか、診察中ものすごく楽しそうにワクワクと話をされていました。その方が不安も吹き飛びますし、説明も分かりやすく丁寧で、また何かに噛まれた時はお世話になりたいと思える先生でした。
ワクチン3回目の接種を終えた時には、
医師:「よ~し、これで君、いま日本で一番狂犬病に強いよ!!いつ噛まれても大丈夫!」
と、満面の笑みでお墨付きを頂きました。
当初は野生動物に噛まれたら、何かしらの病気になると思っていたので「ガンジス川のほとりで死んでしまうんだ!」と絶望的になっていましたが、結果的に何事もなくおさまりました。
波乱万丈のインド旅行でしたが、また行きたいと思える場所です。歴史的には複雑な地ですが、何より建造物が美しく、料理がおいしいです。南インドやスリランカも気になりますね。
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